心拡大
「心肥大」と「心拡大」。この二つの言葉は一般の方々で混乱して使われているようです。この言葉の意味の違いをお話しします。
「心拡大」は心臓のサイズが大きくなっていることです。「心肥大」とは心臓の筋肉が厚くなっていることです。その意味が異なります。
正常な心臓なら、大きさは適切なサイズですが、その適切なサイズを超えて大きくなっている時には、何がしかの心臓の病気が疑われます。
心臓のサイズが大きくなった所見の「心拡大」は、通常は胸部レントゲン写真で見つかります。
心臓のサイズが大きくなった時に考えられる原因と問題点は、以前詳しくお話ししました。以下をお読みください。 ◆「大きい心臓」は「弱った病気の心臓」
心肥大
一方「心肥大」とは心臓のサイズの大きさの問題ではありません。心臓が大きくなっているわけではありません。胸部レントゲン写真ではこの心肥大は見つかりません。
もし心臓の筋肉が厚くなる「心肥大」と言われたら、恐らく医師は心電図を見てだと思います。心肥大はまず心電図で見つかることが多いのです。
心肥大、どう診断するか?
心電図での「心肥大」所見はあまり正確ではありません。つまり心電図で心肥大の所見があっても、心エコー検査で実際の心臓を観察すると心肥大がないことは珍しくありません。心肥大に関しては心電図より心エコー検査の方がより正確です。
従って心電図で心肥大の所見があれば心臓エコー検査をすることが勧められます。
心臓エコー検査なら心臓の中が実際に良く見えますので、心臓の筋肉が厚くなっているかどうかかなり正確に判断できます。
心肥大は心電図で発見され最終的には心臓エコー検査で診断が確定します。心電図で心肥大の所見があっても心エコー検査で問題なしの結果になることは良くあることです。
心肥大の原因と治療
心肥大の原因、最終的には?
心肥大は高血圧が長期間続いた人によく起こります。しかし高血圧があっても、その期間が短かったり高血圧の程度が軽い場合には心肥大にならないでしょう。
高血圧が中程度以上で長期間続いた場合に心肥大の所見になることが多いのです。この心肥大は高い血圧(心臓の筋肉に対する強い負担)に対する心臓の筋肉の適応現象と言っても良いでしょう。
心肥大所見がある場合は、長期間の高い血圧のため、心臓の筋肉は酷使され、ある程度まで傷んでいると考えると分かりやすいでしょう。
心肥大がある場合、心臓の筋肉には既に障害が発生しており、検査でそれが明らかになった状態です。
高血圧という心臓への重い負荷を開放してやらなければ、心臓の筋肉は更に病気が進行し最終的には心不全となるでしょう。