血圧が高くなった。治療を始めるべきか?
これまで健康で高血圧の薬は飲んだことがない人で、血圧を測ってみたら少し高めでした。心配になりましたが薬を飲むべきか飲まなくてもいいのかよく分からず迷っています。
何年も前から高かった人も最近になって急に高くなってきた人も治療開始の考え方はそれほど変わりません。血圧があるレベル以上であれば早めの内服治療の開始を勧めます。
今日はそのような人に血圧の実際的測り方とその結果の評価の方法を分かり易く話します。
血圧測定と評価
A.血圧はいつ何回くらい測る?
血圧は様々な状況で大きく変化しますので、突然思いついて一回測った値だけで薬を飲むかどうか決めるわけにはいきません。そこで2週間以上の期間、毎日血圧を連続して測定し、その結果を持参し内服治療開始について医師に相談することを勧めます。
内服開始について納得できる話し合いができると思います。それだけ多くの血圧の測定結果があれば医師も自分の考えを明確にお伝えできると思います。
B.どんな血圧計を使うか?
血圧データを集める準備から始まります。まず血圧計を購入して下さい。指、手首、肘で測る3種類の血圧計が市販されてます。できれば肘で測る機械を購入して下さい。ここの値が血圧測定の標準として世界共通で使われています。
購入する血圧計は日本製なら高価である必要はありません。データ記憶用メモリーは不要です。血圧の正しい測定方法は機械の説明書に書いてありますから、最初に必ずよく読んでその通りに使います。いい加減なやり方で測ってはいけません。
C.測定で重要な点:測定が無意味になる!
1)使用説明書の使い方をよく読む
血圧計に同封してある測定方法を必ずよく読んで下さい。正確にその通り装着して計測して下さい。これを守らないと、せっかく測ってもその値は信頼できません。雑な測定では正しいデータが得られません。
2)朝・夜の2回測る
測る条件を統一し出来るだけ「同じ条件で毎日連続」して測定します。お勧めの時間帯は、朝起きて排尿し食事前のまだ本格的な活動に入っていない時間帯。夜はフトンに入る直前の穏やかな時間帯です。
この一日2回です。このタイミングなら身体は落ち着いた状況にあり血圧測定に適した条件だと考えられます。
3)無心で測る
測定する時、出来れば目を閉じて何も考えないでください。何かを考えながら、テレビを見ながら、新聞や本を読みながら、誰かと話しながら、血圧計をじっと見つめ真剣に観察しながら、「高いかな?、高く出たら困るな」など考えたりして測定するのは誤りです。そんな測定では血圧は正しく測れません。落ち着いて無心で測って下さい。
以上の方法を守って測定したなら、血圧値は何かに影響されてない評価に耐えうる自然な値であると思います。
D.データの記録と評価:グラフ表示が大切
測定した血圧の値と脈拍数をノートに記録します。記録方法は写真のように数字を一番下段の枠に記入しておき、血圧値だけは折れ線グラフにします。この折れ線グラフにすることが非常に重要です。
血圧は上の血圧(収縮期血圧)と下の血圧(拡張期血圧)の二つがありますが、それぞれを別の折れ線グラフに書きます。
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E.データから受診を判断
1)受診を検討する
その折れ線グラフを最低2週間連続して記録します。グラフを観察して下さい。まず収縮期血圧ですが、写真のようにグラフの値の多くが正常血圧の上限である上の青い線125mmHgより更に上にある場合(この時、血圧の折れ線グラフは125mmHgの青い直線と交叉することが少ない)、または拡張期血圧のグラフの多くが正常血圧の上限である下の青い線75mmHg以上にある場合(この時、血圧の折れ線グラフは75mmHgの青い直線と交叉することが少ない)、そのどちらがあった場合でも高血圧の治療について、そろそろ病院に相談に行くことを勧めます。
2)血圧はほぼ正常
その折れ線グラフが上も下も共に全部青い線の下にあれば、あなたの血圧はほぼ正常ですから、時々日中に高い血圧が出たとしてもまだ治療を考えなくてよいと思われます。
3)治療の予備軍
折れ線グラフが上下の青い線とかなり広い範囲で重なって交叉している場合は微妙になります。薬の内服治療開始の時期に近づいてきたかもしれません。注意しながら血圧測定を続けて下さい。