インフルエンザ:大人の流行は、まだ初期の段階
例年なら、インフルエンザは正月の三が日を終わって、4日から診療が始まったらどっと押しかけてくるのが普通です。
今年は11月の中旬から中学校や小学校で学級閉鎖が始まり、大人の世界にもパラパラと発症例が散見されました。しかし大人では決して流行しているというような印象ではありません。
当院は小児を診療していませんから、子供の世界は全く分かりませんが、大人では確かに例年より早く発症した患者が多いようです。しかし数はわずかで推移しています。
インフルエンザのタイプは全例がA型です。高熱患者さんでインフルエンザか?と思っても、検査結果は否定的で細菌による上気道感染症の方がほとんどです。
インフルエンザワクチンを接種した方で症状は軽い鼻水だけですが、家族がインフルエンザに感染したので自分ももしかするとインフルエンザになったのではと心配して来院されます。検査してみますと、間違いなくインフルエンザ感染であったケースが数人いました。このような軽い症状で済んでいるとはワクチンの予防効果が十分にあったようです。とてもインフルエンザだとは思わない軽微な症状でした。
それでもインフルエンザの感染は間違いありませんから、しばらくの間ですが周囲にウイルス病原体をばらまかないよう注意を喚起してお帰り頂きました。
感染性胃腸炎:こちらは、今が流行拡大中
大人の世界では、インフルエンザよりむしろ最近の注目は感染性胃腸炎です。程度は軽いものからかなり重症まで相当に幅広いのですが、インフルエンザよりはるかに多くの患者さんが発症しています。
症状は軽い胃の痛み、吐き気、腹痛、お腹のゴロゴロなどです。さらに軟い便から激しい水の様な下痢までの急性腸炎の症状があります。この腸炎の症状は程度が様々です。発熱も微熱から高熱まで広くばらついています。軽い方なら内服薬処方だけで帰宅されますが、症状の重い方でも十分な点滴をすればかなり楽になって帰られます。
病原体はウイルス(ノロが多いと言われています)よりも細菌の方がはるかに多いような印象です。ウイルスが原因なら生のカキ貝を食べた方が多いようです。まず最初にお子さんが発症して、そこから家族に広がっていく場合が多いようです。菌が細菌なら抗生物質での治療になります。帰宅後は家族間で移さないよう注意して下さい。