心不全が重くなると、夜中に息苦しくなって起き上がり座った姿勢でゼーゼー、ヒューヒューと呼吸します。仰向けで寝ていると苦しくてたまらないのです。窓を開け放ち胸いっぱい空気を吸いたくなります。これで死ぬのかと思うほどです。
心不全って、どんな病気?
想定される心臓の病気
心房細動、心筋梗塞、高血圧性心臓病、心臓弁膜症、拡張型心筋症、洞不全症候群、房室ブロック、頻脈性不整脈、心筋炎、先天性心疾患、ほか
患者さんへの助言
疲れやすくなる病気で心臓病の心不全でない病気はたくさんあります。心不全であるかないかは医師の診察を受けなければ分かりません。まず病院を受診して医師の診察を受けて下さい。ここではあなたの症状が心不全によるものであると仮定して話を進めます。
心不全という難解な病態を例え話で解説。 ◆266 心不全とはどんな病気? 例え話でやさしく説明
心配な時は医師に相談ください。
◆222 心臓病 症状から自己診断は、リスクあり危険
心不全の症状
軽いうちは、階段の昇りで足などが疲れ易く息切れがする程度です
●運動で、足が疲れやすくなる
力の弱った心臓では、仕事や運動などで軽い負担がかかっただけでも全身に必要な血液を十分送り出せないため、運動すると栄養が来ない足等の筋肉が疲れやすくなります。軽い運動でも足が疲れるようになります。
●軽い運動でも、疲れ易くドキドキして息苦しくなる
心不全では運動時に全身に十分な血液を送れません。足が疲れるだけでなく肺にも水がたまります。肺うっ血,肺水腫,胸水になります。
肺に水がたまると酸素を取り込めないので呼吸が荒くなり心臓はドキドキして息が苦しくハァハァします。軽い仕事や運動でも酸素不足からすぐに疲れ易くて息が切れます。
●足がむくみ、食欲が落ちる、咳や痰がで始める、体重増加がある
心不全でよくあるその他の症状は、水が全身に貯まることです。まず初めは足のすねがむくんで腫れます。靴下の痕が残ったり,指で強く押すとはっきりした凹みの痕(浮腫)が残ります。
お腹の肝臓や胃腸の囲りにも水が貯まりますと肝臓が腫れたり押すと痛みがあったり,お腹全体が盛り上がって膨れてきたり(腹水といいます),食欲がなくなったりします。しかしこの症状は患者さんにはなかなか分かりません。
肺にたまった水を外に吐き出すために咳や痰がでるようになります。
●水が多く貯まると、体重が相当に増え、顔までむくむ
体に貯まった水がさらに増え続けますと、顔にまで水が貯まりますから顔がはっきりとむくんでいるのが分かります。瞼がはれるのが分かりやすいでしょう。
過剰な水が肺だけでなく全身に貯まって顔にまできた証拠です。この段階では過剰な水分のため、体重は5キロ以上も増えているでしょう。10キロ以上くらい増えていることもあります。→ ◆193 心不全の予防 体重増加の目安を知りたい
●重症では、夜に寝てから、死ぬほど苦しい呼吸困難となる
心不全がさらに重症になりますと、布団に入って眠ってから夜中に息苦しさが出てくるようになります。
特徴的なのは、深夜仰向け姿勢では息苦しくて眠れず、上半身を起こすと少し楽になるので、布団の上で上半身を起こしたまま眠るようになります。これを「夜間の起座呼吸」といいます。
酸素が足りなくて、窓を開け放って空気を胸いっぱいに吸いたくなります。苦しい時は自分はこれで死んでしまうのかと思うほどです。このような症状が出たら心臓は相当に傷んでいます。至急治療を受けてください。→ ◆220 心不全 繰り返し起こるのはなぜ?
心不全で脚にむくみが出てきます。押すとヘコミが出来ますから簡単に分かるでしょう。悪化すれば、顔、手、お腹、肺と全身にむくみが拡大します。体重が急速に増えます。
心不全でないなら・・
「疲れる、息切れ」が、別の病気なら・・
「疲れる、息切れ」になる病気は、心不全以外にもたくさんあります。あなたのその疲れやすさが本当に心不全かどうか一度は確認しておきましょう。まず診察を受けてその疲れやすい病気が心不全かどうかはっきりさせることです。
疲れやすくなる病気の一覧を以下に示します。当院のような小さなクリニックでは、運動不足、過労、睡眠不足などが最も多い原因です。元々心臓に病気がある方でなければ、心不全である可能性はかなり少ないと思います。
最もありふれた原因は
・運動不足、過労、睡眠不足、ストレス過多、肥満
それ以外には
・癌、白血病など悪性腫瘍
・低血圧、高血圧など血圧の異常
・慢性下痢、慢性肝炎などの消化管・肝臓疾患
・貧血などの血液疾患
・肺気腫などの呼吸器疾患
・うつ病などの精神・神経科的疾患
・甲状腺機能低下、更年期障害などの内分泌疾患
・感染症、結核などの慢性の感染症
・糖尿病の高血糖状態など
・糸球体腎炎などの腎臓・泌尿器系疾患
・ビタミン欠乏症、電解質異常など
心不全の重症度
心不全の「重さの程度」を示します
心不全の重症の程度は以下のような基準を一つの目安として下さい。
■心不全の重症度分類1
安田寿一らの分類
重症度1(心不全らしい):
普通に階段を昇ると息切れがするが,途中で休むほどではない。
重症度2(軽い心不全):
普通の階段を昇るとき息切れがして途中で休む。日常の労作のあと,夕方になると下腿にむくみがみられる。
重症度3(中程度の心不全):
普通に平地を歩いていても息切れのため長くは歩けない。また,静かに横になっていても多少の息苦しさがある。下腿にわずかなむくみがある。
重症度4(重い心不全):
部屋の中の歩行,排尿や排便の時に息苦しさがある。静かに横になっていても息苦しい。下腿に明らかなむくみがある。
重症度5(非常に重い心不全):
息苦しくて立ったり歩いたり出来ない。静かに横になっていても強い呼吸困難がある(起座呼吸,夜間発作性呼吸困難など)。下腿に高度なむくみと腹水や胸水もある。
■心不全の重症度分類2
NYHA(New York Heart Association)の分類
Ⅰ度 無症状:制限はない。
心疾患はあるが、通常の身体活動に制限はない。
Ⅱ度 軽症:安静時には無症状。身体活動の制限は軽度。
日常的な身体活動で、疲労、動悸、呼吸困難、狭心痛を生じる。
Ⅲ度 中程度~重症:身体活動の制限が高度。
日常的な身体活動以下で疲労、動悸、呼吸困難、狭心痛を生じる。
Ⅳ度 難治性:いかなる身体活動も制限される。
安静時にも、呼吸困難を生じる。わずかな労作でこれらの症状は増悪する。
心不全の治療
治療の原則:弱った心臓への負担を減らす
心不全治療の一般原則を分かりやすく整理してここでお話しします。心不全治療の理解に参考になると思います。
心不全でも自宅から通院治療が可能な程度の患者さん(慢性心不全といいます)の治療は、弱った心臓をいかに大切に守るかが焦点になります。→ ◆125 心不全治療とは、誰でもわかる、心臓をいたわることです、で詳しくお話しします。
弱った心臓を「老いて弱った馬」にたとえます。この馬に荷物を積んで車を引かせるのですが、馬を大切にする気持ちがあれば、乗せる荷物を出来るだけ軽くしてやるのは誰でもわかることです。
では弱った心臓からみて、その荷物とは何か?。最初の大きな荷物は「血圧と脈拍」です。その他に「体内の水分量」、馬への鞭打ちに相当する「ストレスや緊張、興奮」、「肥満」、「体力の消耗」等です。
「肥満」とは、載せる荷物ではなく荷台そのものが重いのですから、馬にとって一番の無駄です。重い運動は心臓に負担となりますが、心不全の方は苦しくなるので運動は自ら避けています。
この少なくとも5種類の「荷物」を出来るだけ軽くしてやることが「弱った馬=心臓」をいたわることであり、心不全を予防し心臓を長持ちさせることにつながります。「荷物=負担」をまとめると、心臓への負担を増やすのは、
1)高い血圧、速い脈
2)多い飲水量、体内の水分過量
3)ストレス・緊張・興奮
4)肥満
5)その他の体力消耗(運動、過労、発熱、肺炎、下痢、貧血、甲状腺疾患など)
です。これらを徹底して理想的な状態に維持しておくことが治療の原則です。以上について少し詳しい解説はここでお話ししました。→ ◆125 心不全治療とは、誰でもわかる、心臓をいたわることです
心不全の具体的治療
内科的治療の原則から、心不全の具体的な治療方法は4つあります。これらの治療を原則に従って実行すれば,心不全はきっと良くなります。医師と相談しあなたに最適な組み合わせを見つけてください。
1)安静・休養(心臓の衰弱は赤信号。十分な休息を)
弱った心臓にとって運動や作業は大変につらい負担です。疲れやすい,息切れ,呼吸困難,咳,痰,さらに足のむくみや食欲の低下はどれも全て力の弱った心臓に現れた赤信号です。
この赤信号が点灯した時は、心臓を充分に休めなければなりません。安静と休息がこの病気にとって最も大切です。充分な休養がとれれば,軽い心不全のうちはそれだけでも症状は良くなります。
もしこの病状が進んでゆきますと,動いた時だけでなく,静かに横になっている時でさえ症状がでてくるようになります。さらに、ひどく重症になってしまった時は「症状のリスト」の34番のようになります。このようになってしまうと安静と休養だけではとても症状の回復は期待できません。
病院に入院してきちんとした治療を受けなければ命にかかわります。 こうなるまで我慢して,この病気を放っておいてはいけません。もっと軽いうちに必ず病院に行くべきです。
2)水分制限、減塩、体重の減量
飲む水の量をできるだけ少なくし、塩分を控えた食事にして下さい。
この飲水制限は安静・休養についで非常に大切です。一日の水分摂取は1000~1200mlくらいにしましょう。味噌汁や薬を飲む水も含めてです。
食塩摂取量は一日6グラム以下に抑えましょう。塩分が多いと血圧が高くなって,それだけでも弱った心臓に大きな負担を与えます。血圧が高いだけでつらくて重い心不全の症状がでることがあります。
また食塩は体の中の水分を増やします。これは水分の取り過ぎと同じように,肺を水浸しにしたり(咳と痰が止まらず,息が苦しくなります),お腹の中の水を増やしたり(お腹が張って,食欲が無くなります),足のむくみをひどくします。
心不全は、体内に水がジャブジャブ状態
心不全になってしまった患者さんが、私のクリニックの外来に初めて来られ、診察・治療する機会があります。元々心臓病があって、ある病院で治療していたのですが、体調が悪化しなかなか良くならないので私のクリニックを訪れたケースです。
診察して、現在が心不全状態であることを説明し、現状と今後の治療について詳しくお話します。薬を変更しますが、今後の日常生活についても注意事項を十分時間をかけて説明します。この時、ほとんどの患者さんが、水についての認識がまったく欠けています。普段の生活では、水分制限が極めて大切なことを全然理解していないのです。
心臓病があり心不全予備軍状態の患者さんにとって、心不全を予防することがいかに大切なことか。心不全になれば、体調が悪化し、疲れやすく、食欲は減退し、息切れがして、重くなれば夜間に息苦しくて仰向けで寝ることができず、起き上がってハーハーしています。夜中に苦しくて、「これで死んでしまうかも・・」と、不安になることさえあるでしょう。心不全の重い症状です。こんな苦しいことになりたくなければ、心不全の予防は命がかかった大切な行動です。
心不全の予防にとって、日常生活の注意事項の第一番が水分制限なのです。
水は毒!、心不全では体の中に水が貯まり過ぎているために、酸素ボンベなしで潜水したのと同じで”窒息”してしまいます。
3)薬による治療
この薬物治療は、全身の状態や心臓の状態を最適に調整・維持するために使います。
血圧の最適化(至適血圧に維持する)、体の水分量の最適化、心臓を休ませる、心臓を刺激する自律神経系を調整する、わずかに心臓の力を増強させる等、その他にも全身の重要臓器(腎臓機能、肝臓機能、血糖値・糖尿病、尿酸値、コレステロール等)の状態も最適にしておくのが治療の目標です。
■降圧薬:
血圧を下げる治療薬です。血圧を下げるだけで心臓の負担がとれて症状が改善します。心不全では血圧をギリギリまで下げる必要があります。この薬の使い方は専門医に任せたほうが良いでしょう。第一番目の選択で重要な薬です。
■アンギオテンシン変換酵素阻害薬:
本来は血圧を下げるための弱い薬です。しかし,心不全に使われ効果があることが分っています。心不全の軽い初期段階から使用されるでしょう。
■利尿薬:
強制的に尿を出させる薬です。水分が体に溜まる心不全では、体から水分を外に出させる効果がある重要な薬です。心不全治療には欠かせません。この薬は長期に使用すると腎機能に影響がありますので、出来るだけ最小限の量にします。
■ジギタリス:
→ ■147 心不全治療の原理を探して ジギタリス強心薬ジゴキシンは隠された鍵か
二百年以上前から心不全治療に使われていますが,最近になってこの薬の良い効果が再び注目されています。この薬の使い方は独特ですから、この薬の治療に習熟した専門医が良いと思います。かえって悪くなることがあります。
■ベータ遮断薬:
この薬が心不全に延命効果があるとはっきりしました。しかし効く患者さんには非常に効果的ですが、どのような心不全に効果があるのか、どの種類を使うとよいのか、その薬をどの様に増量していくか(どのように減量するか)と、専門的な知識と経験が必要な使い方が難しい薬です。この薬の治療も心不全の専門医に任せましょう。
■新しい強心薬:
心臓の筋肉の力を増強する薬で,いろいろな種類が新しく開発されています。この中から将来の心不全に対する画期的な薬が生まれてくることが期待されます。
しかし、現状ではどれも短期間使用の治療効果は良いのですが,長期間の治療効果については未だはっきりしない薬が多いようです。主に急性期の心不全に限定して用いられています。外来での長期投与はあまりお勧めできません。
ジギタリスの花
心臓病、心不全の治療で使う薬草ジギタリスです。これを自己流で煎じたりして飲んでは絶対いけません。200年前ヨーロッパではこれを薬として自己流で煎じて飲んでいましたが、適量が分からず多くの人が命を落としたそうです。
4)特殊な治療
外来での薬剤治療などでは限界があるような、非常に重症で最終段階の心不全患者さんに使用されます。これを読んでいる方にはまず関係ないでしょう。ここは読まなくても結構です。
■ぺースメーカー治療(両心室ぺーシング)
心不全患者さんの心臓はポンプとしての動きがバランスしていない場合があります。これは心臓のポンプ力を低下させると考えられています。心不全の場合は「両心室ペーシング」という方法で心臓のポンプ力をアップさせます。しかし、このペースメーカーが必ず有効というわけではありませんので、どのような患者さんに対して有効か研究中の状況です。
■補助人工心臓
治療を尽くしても、強い心不全症状が残る場合は、心臓移植を検討して、条件を満たした場合は心臓移植待機となります。心臓移植待機の患者さんは、心不全症状を軽くするために補助人工心臓を装着します。この機械をつければ、心不全症状が改善した状態で心臓移植を待つことができます。
■心臓移植、植え込み型人工心臓
心臓移植は、わが国では提供される臓器が少ないために年間、数例程度しか行われていません。植え込み型人工心臓は、左心室だけを補助するタイプのものがいろいろと考案されています。原理的には補助人工心臓と同じです。
■心不全となる心臓病の根本を治療
心臓弁の交換手術や心臓ペースメーカー植え込みなどが必要であれば,その治療が最も重要です。
附録:心不全の原因・検査
心不全の仕組み
★心不全のしくみ
心不全とは、病名ではなく病気の状態を表す言葉です。病気で力が弱った心臓によっておこってくる全身の症状のことをまとめて心不全と言う言葉で表現するのです。新聞の死亡欄で死因として心不全がよく使われていますから、一度や二度は聞いたことがあると思います。
静かに休んでいる時,心臓が送り出す血液の量はだいたい一分間に4~6リットル程度ですが,この仕事量は心臓にとって軽いものです。立ち上がるとこの量が少し増えます。走ったり,激しい運動をする時には,3倍から6倍にまで増えます。
このように活動や運動が強くなるにしたがって,必要な血液を充分に全身に送るため,心臓の仕事量もそれに伴って大きく増えてゆきます。手足の筋肉が激しく運動するためには,その運動に見合った酸素や栄養を筋肉に与え続けねばなりませんので,送り出す血液
量も増大することになるのです。
健康な人ではこのようにして,さまざまな酸素需要においても,身体は健全に活動出来るのです。この背景には巧妙な体の中の仕組みがあります。
それは、我々が心臓の動きに無意識であることも含めて,我々が全く気づかないうちに,総ての器官はうまく調節されているのです。
この調節の指令はほとんど脳が支配しているのです。
★心臓の衰弱と血液拍出能力の減少
何かの原因で心臓の力が衰弱して,心臓の血液拍出能力が大幅に減少してしまったとします。そうなると身体が軽く活動している時には,心臓は必要な血液量を充分全身に送り出すことが出来ても,運動や作業が始まると必要な血液量を充分に送り出せなくなってしまいます。
したがって、運動する手足の筋肉は必要な酸素や栄養を充分に供給されず,栄養不足となりすぐに疲れてしまいます。心不全患者さんが運動や作業で疲れやすい理由です。
心不全の原因
心不全には、大きく分けて次の二つの状態があります。
・血液を充分送り出せない状態(心臓の収縮不全)
・心臓が十分に大きくなれない状態(心臓の拡張不全)
心不全とは主に心臓の筋肉の力が衰えて,全身が必要としている血液量を充分に送り出せなくなった状態をさします(心臓の収縮不全による心不全)。一方,心臓が小さく縮んだあと次に拡がる時,何らかの原因で拡がりにくくなることからおこる心不全もあります(心臓の拡張不全による心不全)。典型的な心不全では収縮不全と拡張不全の両者が同時におこります。
どのような原因であれ心臓の筋肉が衰弱すれば,最終的にこの心不全となりますから,心不全はあらゆる心臓病の終着駅といえます。
★心臓の力が衰弱する病気
心臓の筋肉が衰える原因としては,以下のようなものが分かっています。
・心筋梗塞
・高血圧
・心臓弁膜症
・ウイルス感染
・肺疾患
・先天性心疾患
・結合織病(膠原病)
・内分泌性疾患
・神経・筋疾患
・アルコール
・妊娠や出産
・代謝性疾患
・その他(特発性心筋症,アミロイドーシス,サルコイドーシスなど)
最近では心筋梗塞が心不全原因の多くの割合を占めています。
★心臓の力が必ずしも衰弱しない心臓病
また心不全の原因として,心臓の筋肉にはとりたてて異常は無くても,別の理由から心臓の収縮不全や拡張不全がおこる場合があります。
・非常に速い心臓の動き(心室頻拍,心房細動や心房粗動など)
・非常に遅い心臓の動き(完全房室ブロックや洞不全症候群など)
・心筋の拡張障害(高血圧性心臓病、収縮性心膜炎,心タンポナーデや肥大型心筋症など)
などです。
これらの心不全はその原因となる問題を取り除くことが出来れば、心不全の症状は消失します。しかしその原因が簡単に取り除けなくて、慢性的に長期間続く結果、最後に心不全となってしまう心臓病があります。近年多いのは心房細動です。日本人の高齢化に伴って数が非常に増えています。