★現在心不全症状ある方は運動療法していけません!
現在心不全の症状がある患者さんは原則運動をしてはいけません。心不全の症状が消えてから運動について主治医と相談して下さい。過度の運動は心臓病にとって危険でさえありますから避けて下さい。運動中に急死することがあります。
運動療法の効果
適度な運動は肥満,高血圧,神経症の予防やストレス防止等に良い効果があります。また狭心症や心筋梗塞の患者さんでは,運動が冠動脈の側副血行路の形成を促進し,不整脈の発生数が減ることが分かっていますので,一つの治療法でもあります。心臓病があっても,耐えうる範囲内では体を動かして訓練する必要があります。ただし,この訓練によって心臓をさらに鍛えたり,心臓病を根本的に治すことは出来ません。同じ能力の心臓をより効率よく,より上手に使うためです。適度な運動は心臓病の患者さんにとっても必要です。
運動については健康な方が体を鍛えるためにする運動と,心臓病の方が病気の治療としてする運動があり,この二つは目的も方法も全く異なります。混同しないで下さい。ここでは後者の心臓病の治療としての運動が話題の中心です。この運動には幾つかの条件が必要です。
心臓病の運動療法の原則
・運動は最初は軽く、徐々に負荷を増していく、決して無理しないこと。
・可能なら、予め運動負荷試験であなたの運動許容量を決める。
・歩行運動のように,無理のない,競争ではない運動にする。
・最初は、二日か三日に一度の運動にする。
・寒い日,暑い日,雨の日,強い風の日などは避ける。
・睡眠不足,疲労,体調不良の時は避ける。
・散歩なら、歩き始めてから徐々に速くして,再び徐々に遅くして終わる。
・慣れれば、運動時間は20分以上にする。
・運動で体重を減量しようとは考えない。
・運動は四肢の筋肉と心肺機能への軽い刺激となる。
・運動中は適度に水分を補給し、脱水とならないよう注意する。
・安全限界を超えるような運動は絶対にしない。
運動量の目安となる最高脈拍数
運動の強さは脈拍数を目安にします。目安となるあなたの最高脈拍数の計算は,
目安の最高脈拍数=(220 – 年齢)x0.7
原則的に、特に最初は、この脈拍を越えない程度の運動にします。
腕時計と組み合わせた脈拍測定装置が市販されています。過剰な運動はかえって心臓病を悪化させます。ジョギング中の突然死が時々報道されています。大切なのは運動量を徐々に増量することで、いきなり大きな負担を心臓にかけないでください。2,3ヶ月かけてゆっくりと全身の運動耐用の能力を増加させてください。自分の体調を見ながら、無理せずに運動を続けることです。運動は続けることが大切で、2,3ヶ月でやめてしまっては十分な効果が現れません。最低でも2年くらいは続けてください。
推薦される運動
推薦される運動としては以下のようなスポーツですが,どのスポーツをどの程度まで可能かはあなたの主治医とよく相談して下さい。
・散歩,早足歩行
・サイクリング
・ジョギング
・テニス
・水泳
・体操,エアロビックス,ヨーガ
・ゴルフ(競わないこと。グリーンでのパットは注意)
一方,勝敗を争うようなスポーツや記録をめざすようなスポーツは心臓に負担が大きく適しません。時間を計るトライアル的な競技は危険です。